男子シングルスで、世界ランク5位の張本智和(15=エリートアカデミー)が、初優勝に王手をかけた。準決勝で世界ランク6位ウーゴ・カルデラノ(22=ブラジル)と対戦。相手のスーパープレーに惑わされることなく、4-0。今日16日の決勝で、史上最年少15歳でのVをかける。今年1月14歳で全日本選手権を制して快進撃。世界トップ級に浮上した飛躍の1年を金字塔で締めくくる。

15歳の心は揺れなかった。2-0で迎えた第3ゲーム開始直後。こん身のフォアを、卓球台から離れていたカルデラノに両手のバックハンドで打ち返された。テニスのような仰天の打球を見送った。会場は大歓声も、いらいらしない。「様子を見ながら攻められた」と勝負どころでポイントを重ねて4-0。わずか35分程度で、22歳を一蹴した。

勝利インタビューではカルデラノの超絶技に「全く予想できなかった。相手のスーパープレーでした」。「次は君がやる?」と質問されて「ああいう技はできないです。カルデラノ選手だからできたと思う」。苦笑いでそう答えた姿に世界トップ級の風格が漂った。

現地のテレビ実況で「ジャパニーズセンセーション」と紹介された。1月に史上最年少の14歳で全日本選手権を制した。その後も16年リオデジャネイロ・オリンピック王者の馬龍、世界ランク1位の樊振東ら卓球王国・中国勢も撃破。ただ6月の荻村ジャパン・オープン以来優勝はなく「悔しさをグランドファイナルにぶつけられるように」と気合十分だ。

初優勝に王手をかけて「大会前はまさかここまで来られるとは思わなくてうれしいけど、あと1つ勝つまで満足しないように頑張ります」。昨年は世界ランク17位で臨んだが、今年は同5位。「目標はあくまで優勝」。国際卓球連盟の年間表彰は最優秀選手にノミネートも受賞は逃した。「少し悔しさもあった」。決勝の相手は同4位林高遠(中国)。史上最年少の15歳Vがかかる大一番になる。