ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ男子で、今季7戦中4勝と躍進著しい小林陵侑(22=土屋ホーム)が18日、転戦を終えて成田空港に一時帰国した。

開幕戦で3位表彰台に上がると、第2戦で初優勝。その後もコンスタントに上位争いを繰り広げ、直近の第7戦スイスでの大会でも優勝した。

2月の平昌五輪ではノーマルヒルで7位、ラージヒルで10位だった新星は、「夏からハイジャンプの改良を続けて、それがうまくはまっている。アプローチの助走ですね。だんだんと自信もついてきた」と手応え十分。所属の監督である葛西紀明のもとで培ってきた成果が結果に表れ始めた。

師匠は「スリップしないで飛ぶことですね。(具体的には)秘密です」とニンマリ。平昌五輪での頂点を目指して伝授してきた技術が、ここに来て開花しているという。「2年前に教えたことが、ようやく完璧にできるようになった。僕が思っていた成績を出してきた。やっぱりなと、うれしさと、悔しい気持ちですね」と弟子の活躍に目を細めた。

月末からは、五輪、世界選手権と並び、伝統を誇るジャンプ週間が待つ。52年に開始された、ドイツとオーストリアで集中開催される計4試合。日本勢は日本勢では97-98年シーズンの船木和喜以来となる優勝へ、視界も良好だ。「まず1勝を目指しますが、全勝できれば。みんなも調子を上げてくると思う」とよどみなかった。

さらに年間勝利数でも、快挙が見える。葛西が98-99年に記録した日本男子のW杯シーズン最多記録6勝が目の前にある。「あまり考えていないですけど、まだ何十戦となるので、チャンスはある」。

葛西は「(自分の)記録は古い。10勝、15勝と挙げて欲しいし、それくらいのレベルにある」と太鼓判を押した。帰国までの飛行機でも隣席で「まだ考えながら飛んでいるようですが、そのうちに体が勝手に動くようになれば無敵」と諭したという。

年の差24歳の師弟コンビ。葛西が「あんまり勝つなよ」と笑いながら褒めた上でのここまでの評価は、「990点!」。超高得点かと思いきや、すかさず小林が「1億点(満点)ですよね」と突っ込みを入れ「思ったより少ないな」とおどけるなど息もぴったりだった。