テニスの4大大会今季初戦、全豪オープンが14日に開幕する。世界9位で、前哨戦のブリスベン国際で優勝した錦織圭(29=日清食品)のチャン・コーチは「ケイは完全無欠の選手になりつつある」と絶賛した。この日、同19位のシュウォーツマン(アルゼンチン)と約1時間半練習し、15日の1回戦に備えた。

チャン・コーチはブリスベンにはいなかった。しかし、ボティーニ・コーチや錦織自身から連絡が入っており「しっかりとテレビで見ていた。非常にいいプレーだった」。今季無敗で挑む全豪にも「最高のスタートが切れて、いい準備になった」と手応え十分だ。

昨季から錦織は、ネットプレーを多く取り入れた。サーブして、すぐにネットにダッシュするサーブ&ボレーも見せる。しかし、それはチャン・コーチが教えたことではない。「サーブとボレーを個別には練習するが、それを合わせるのはケイ自身だった」と明かす。

実はチャン・コーチは「前は、こんなにネットプレーができるとは思わなかった」という。それが「どんどん自然にアタックできる選手になっている」。錦織の才能が5年も指導したチャン・コーチを新たに驚かせた。

オフシーズンには、そのネットプレーを戦術に組み込む練習を行ったという。「このネットプレーは、ケイにとってすごく重要なスタイルになる。それを交えた練習を行ってきた」。その成果が、ブリスベンですぐに出た。

チャン・コーチは「もうケイは完全な選手に近づいたと言っていいよ」と、穴がない完全な選手として育ちつつあると話す。この日も、ネットを交えたプレーで、シュウォーツマンを翻弄(ほんろう)した。17年の半分を、右手首のケガで棒に振りながら、29歳にして完全な選手に生まれ変わる“新生”錦織が、悲願の4大大会優勝に挑む。【吉松忠弘】