13年連続の決勝進出となった水谷隼(29=木下グループ)がV10を達成した。初決勝だった大島祐哉(24=木下グループ)に4-2で勝利。2年ぶりの優勝を果たし、最多優勝記録を更新した。試合後、全日本選手権出場は今大会を最後にすると明言した。張本智和(15=エリートアカデミー)は準決勝で大島に敗れ、連覇を逃した。

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張本が準決勝で姿を消した。最終ゲーム。9-9で大島のサーブがネットにかかり、やり直し。会場はどよめき、異様な空気に包まれた。再サーブ、「チキータでいくかどうするか迷っている最中に来てしまった」と、これまでの向かっていく姿勢とは別人の張本がそこにいた。失点し、9-10。「その時点で次何をやってもダメだったと思う」と振り返った。

試合後、ベンチに座り込み、ぼうぜんと動かなかった。「負けたことを受け入れたくなかった。だから、何も考えないで座っていた」。昨年は全日本で初優勝し、12月のワールドツアー・グランドファイナルでも初優勝。追われる立場となり「自分で考える以上にプレッシャーがあった」と語った。

試合後、張本の目に涙が見えたが新たな決意に満ちていた。「3月の(ワールドツアー)カタール・オープンに向け死ぬ気で練習する」。来年の東京五輪で金メダルを目指す15歳は、この敗戦を糧にする。