【メルボルン(オーストラリア)=吉松忠弘】群雄割拠の女子テニス界に、大坂時代が到来するか。18年全米で4大大会初優勝を遂げた大坂なおみ(21=日清食品)が、今大会で再び決勝に進出。4大大会2大会連続優勝に王手をかけた。もし達成すれば、14年全米から4大会連続で4大大会を制したセリーナ・ウィリアムズ(米国)以来になる。

連続優勝を英語では「バック・トゥー・バック」という。この5年で達成したのはS・ウィリアムズだけ。特に17、18年は、4大大会すべての優勝者が異なるほど実力伯仲で、女子テニス界は誰が勝ってもおかしくない時代に突入している。

2人合わせて4大大会30度の優勝を誇り、絶対的な力を誇示していたビーナスとセリーナのウィリアムズ姉妹は、姉のビーナスがすでに38歳。衰えは隠しきれない。妹のセリーナも37歳で、大会を絞って出場することで、まだ力を維持している状態だ。

このウィリアムズ姉妹が衰退したことで、多くの女子選手が頭角を現した。しかし、コートの得手不得手、安定性などで、同姉妹のように絶対的な強さを維持できる選手がいない。そこに現れたのが、大舞台で無類の強さを誇る大坂だった。大坂にとって、粘りが大切な赤土の全仏は4大大会の中で最も苦手かもしれない。しかし、他の3大会は、持ち味のパワーを安定させれば、この先、何度も制することは可能だろう。「経験も積んできた。だから自信も芽生えてきた」と言う。

4大大会以外では、1回戦で負けることもある。それほど他の大会でストレスを使わないのかもしれない。「4大大会こそが、つらい練習に耐える理由。誰もが愛し、誰もが勝ちたいと思う大会。それが重要なの」。大坂の「バック・トゥー・バック」は目の前に迫った。