世界4位の大坂なおみ(21=日清食品)が世界の頂点に立つ前に、日本女子生涯賞金女王となった。

大会前に、杉山愛が持つ歴代最多賞金812万8126ドル(約8億9410万円)に44万5264ドル(約4900万円)まで迫っていたが、決勝進出で最低でも205万豪ドル(約146万ドル=約1億6500万円)を上乗せし更新が確実となった。日本男女を通じて全豪シングルス史上初の優勝と、アジア選手初の世界1位をかけ、今日26日の決勝で同6位のペトラ・クビトバ(チェコ)と対戦する。

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世界の頂点の前に、まずは日本の賞金女王だ。大会前の14日時点で、大坂の生涯獲得賞金は768万2862ドル(約8億4510万円)。決勝進出により、日本女子でただ1人、800万ドルの大台に乗っていた杉山を軽々と超え、日本女子初の900万ドルの大台も濃厚だ。

今大会の賞金は豪ドル建て。準優勝で205万豪ドル(約1億6500万円)。優勝すれば410万豪ドル(約3億3000万円)だ。獲得賞金は米ドル表示なので、換算が必要だが、それでも杉山を抜くことは間違いない。日本円で日本女子初の10億円選手も誕生する。

そのスピードがすごい。杉山が単複合計1772試合で8億円以上稼ぎ出したのに対し、大坂はわずか321試合だ。獲得賞金が10億円だとすれば、1試合平均約310万円の稼ぎとなる。試合時間が約1時間半だとすると時給約207万円となる。年々、ツアーの賞金額が増大しているとはいえ、最速賞金女王であるともいえそうだ。しかし上には上がいる。14日付、世界女子の歴代賞金額を見ると歴代最多はS・ウィリアムズ(米国)の8823万3301ドル(約97億円)。大坂の約10倍だ。杉山が58番目で、大坂は62番目。ただ今大会の賞金を加えると日本女子初のトップ50入りも見えてきた。

決勝を翌日に控えたこの日、気温41度の中、笑顔で約15分、練習を行った。極端に短い練習時間は今大会の恒例で「3セット試合の戦い方は分かっている。長くやればいいってもんじゃないわ」と話していた。17歳の左利きの地元選手を仮想クビトバに仕立て、サーブを打たせリターンの練習を行った。すでに軽々と、日本の枠など飛び越えた。獲得賞金もこれからうなぎ上り。まず、14年から4大大会4連続優勝を果たしたS・ウィリアムズ以来の4大大会2大会連続優勝で、アジア初の世界ランク1位の座をいただく。【吉松忠弘】