24年パリオリンピック(五輪)で野球・ソフトボールと空手が除外、代わりに何とブレークダンスが入る。

同大会組織委員会は21日、国際オリンピック委員会(IOC)に提案する開催都市追加種目を発表。20年東京五輪で実施される野球・ソフトボールと空手が落選した。提案されるのは東京大会追加種目のサーフィン、スケートボード、スポーツクライミングとブレークダンス。「若者の五輪離れ」が危惧(きぐ)される中、パリ大会も東京大会に続いて「若者人気獲得」を目指す。

ブレークダンスの五輪競技入りが確実になったことで、日本ダンススポーツ連盟(JDSF)の石川勝之ブレークダンス部長は「予想はしていたが、実際に提案されてうれしい」と話した。世界連盟も「大変に光栄で名誉なこと。ブレークダンスはパリ五輪で目覚ましい成功を収めるだろう」とコメントを出した。数多くのダンスの中でも最も愛好者数が多いと言われるブレイキンが、ついに五輪の舞台にデビューする。

音楽に乗った1対1のバトルは、観客も巻き込んでヒートアップする。対決前からにらみ合い、相手のダンスの時は両腕を組んで挑発。選手のそんな姿に引き込まれ、見ている者も自然と体を動かす。「五輪」にはありえない競技。この日の発表会見でも「いつからスポーツになったのか」という懐疑的な声も出た。

しかし、これが新しい五輪の姿。スケートボードやサーフィンが東京大会の追加種目に決まった時も懐疑的な声はあったが、IOCの「若者人気獲得」という目標の前では当然だった。スケートボードなどと同じくストリートカルチャーとともに成長したスポーツ。「我々の文化が消える」と五輪入りに反対するダンサーもいるが、これもスケートボードやサーフィン、かつてのスノーボードと同じ現象。それでも、ブレークダンスは五輪に入る。

実は、日本ブレイキンは世界トップレベル。昨年のユース五輪では金2、銅1を獲得した。パリ五輪でもメダルの有力候補。もちろん、日本国内でも若者中心に愛好者は多く、人気は高い。石川部長は「まず見てほしい。その背景にある文化も知ってほしい」と話した。今年4月に行われるFISEでは、初めて国際ダンススポーツ連盟(WDSF)公認の国際大会として行われる。ストリートスポーツから五輪競技へ、ブレークダンスも、スポーツ界の変革の波に乗った。

◆ブレークダンス 70年代に米国のストリートで人気になった若者文化がダンススポーツとして定着。「ブレイキン」と呼ばれる競技で、18年10月の夏季ユース五輪(ブエノスアイレス)で初採用された。試合は1対1や2対2で左右に分かれて、30~40秒の時間内に音楽に合わせて即興でダンスを披露し合う。立って踊る「トップロック」頭や肩など全身で跳ねたり回転する「パワームーブ」などステップやスピンの技の難度に加え、音楽との調和性や創造性などの要素が評価対象。ユース五輪では男女個人と混合団体が実施され、河合来夢(17)が女子と混合で金メダルを獲得した。日本は世界屈指の強豪国で、ストリートダンス愛好者は日本国内で100万人を超える。