2020年東京オリンピック(五輪)のチケット争奪戦が始まった。9日午前10時に申し込みをスタートさせた公式販売サイトにはアクセスが殺到。ログインできない状態になり、多い時には順番待ちに数十万人が並んだ。申し込み開始直前の1日で、大会ID登録者が295万人から355万人に激増。予想を上回る人気に、大会組織委員会はシステムの修正や先着順でないことの周知徹底など対応に追われた。

日刊スポーツの五輪担当記者も早速、挑戦してみた。

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午前9時半すぎに出社。するとデスクが「いいところに来た! 給料で払える分だけ申し込もう」とニヤリ。突然の鬼指令に閉口したが、業務命令には逆らえない…。スマホでチケットサイトへ入った。

まずはID登録。迷惑メール設定を解除し、必要事項を記入。「本登録用のメールを送信しました」と表示されるも、なかなか来ない…。ツイッターを見ていると、同じ悩みを抱えた人がたくさん。何度やっても一向に届かないため、いったんそのままにして仕事を始めた。

しばらくするとメールを受信。タイトルは「仮登録完了と本登録のお願い」。時刻は10時19分、仮登録から30分以上が経過していた。本登録完了し、申し込み画面にいくと、並んでいるユーザー数は約50万人、1時間以上待ち。午前中はあきらめ仕事を再開した。

午後になり再チャレンジ。ユーザー数は11万人ほどに減っていた。時刻は午後4時半。30分、15分、10分と減っていく時間をこまめに確認しながらワクワク。

「あと1分!」。誰かに伝えたくて、デスクの元へ。午後5時41分。今か今かと待ち望んだ結果は…。

「えっ?」。競技の画面は出てくることなく、なんと元の申し込み画面に戻っていた。

「マジか…」。言葉を失った記者は恐る恐る「チケット購入」のところを触ると、待ちの画面が再登場。ゴール手前で「スタートに戻る」を引いた感じか。悔しさと悲しさをバネに再チャレンジした。

午後7時2分、健闘むなしくまたもや元の画面に戻った。何で俺だけ…、と思ったら社内には他にも同じ現象が起きた。また、チケットを選択し、ゴール目前までたどり着きながら「電話番号認証」で電話がつながらず、断念する人が続出した。結局、編集局内で手続きに成功した人はいなかった…。

東京五輪は絶対に見たい、あきらめてたまるか! 午後9時、むなしさを抱えながら帰路についた。【五輪担当・松熊洋介=42歳】