【パリ=吉松忠弘】逆転の大坂だ! 18年全米、19年全豪に続く4大大会3大会連続優勝を狙う世界1位の大坂なおみ(21=日清食品)が、12、13年全豪覇者で元世界1位のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)に4-6、7-5、6-3と、1回戦に続く逆転勝ち。新旧女王対決に勝ち、18年と並んで大会自己最高の3回戦に進んだ。次戦では同42位のシニアコバ(チェコ)と対戦する。

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大坂にとって、赤土、最高の戦いだった。代名詞の先手必勝ではなく、4大大会で2試合連続の逆転勝ち。それも、凡ミスが多かった1回戦とは違い、新旧女王のハイレベルな打ち合いを制した。「最後まで挑戦することを止めなかった。今年の赤土でのベストな試合」と胸を張った。

赤土は、球足が遅くラリーが続き、なかなかポイントが決まらない。1発必中、先手必勝の大坂が最も苦手とするコートだ。しかし、第1セットを落としても1回戦のようにパニックにならず「疲れてくるのを待った」と冷静な判断でしっかりと耐えた。そして、第2セットの終盤、相手に疲れが見えると「全速力で攻撃に転じたわ」と笑顔だ。

第1セット、相手の凡ミスはわずか6本。「本当に相手のプレーが良すぎた」。打っても打っても拾われ、相手がミスをしない。「自分もいいプレーをしていた」が、相手がそれを上回った。しかし、幸いだったのはプレーが悪くない分、心が折れなかったことだ。

獲物を狙うオオカミのように、目は冷静だった。第2セット、2-4となったところでアクセルを踏んだ。それにアザレンカも同調し、両者のレベルは上がった。最後、相手の動きが落ちたのを見逃さなかった。「いつでもチャンスがある」。そのチャンスをしっかりとつかんだ。

第1セットを奪った試合は16年10月の天津オープン準々決勝で敗れて以降、19年3月マイアミオープン3回戦で敗れるまで70連勝。2年5カ月、負けなし状態だった。つまり、勢いで試合を制することが多かったのだが、今大会はじっくり構える。第1セットを取れなくても、決して諦めない逆転の大坂だ。その粘りこそ、赤土を制するための新たな武器となる。「どうしても優勝したい」。攻撃の破壊力に加え、粘りを身につけた世界女王に怖いものはない。