【パリ=吉松忠弘】世界1位の大坂なおみの快進撃がついに止まった。世界ランク42位で、ダブルス同1位のカテリナ・シニアコバ(チェコ)に全く反撃する力もなく、4-6、2-6の77分でストレート負け。18年全米から続いていた4大大会の連勝が16で止まるとともに、18年全米、19年全豪に続く4大大会3大会連続優勝はならなかった。次戦は、17日開幕の英バーミンガムの大会で芝コートの初戦となる。

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全く気持ちの高まりがなかった。いつでも勝てるという余裕が、逆に大坂の集中を乱した。あわてたときには遅すぎた。気持ちを盛り上げようと思っても、全く上がってこない。そのうちに追い詰められ、焦り、ミスが続出。ほとんど何もしていない相手に、あっけなく敗れた。

相手の選手に無関係で、1回戦は「スーパー、ナーバスになった」。自分に重圧をかけ、第1セットは完封された。それでも勝利へ貪欲になり、逆転につなげた。2回戦は、元女王のアザレンカ。自分を高めないと勝てないと、初めから集中した。

しかし、この日の3回戦は、エアポケットだった。相手はダブルス1位とはいえ、過去の対戦ではセットを完封していたほど、実力の差は明白だった。誰もが安心していた対戦に、落とし穴があった。

第1セットの第1ゲーム。自分のサーブで1ポイントも落とさずにキープ。第2ゲームでは、早々とブレークポイントを握った。それを逃したが、主導権は大坂にあった。それが、チャンスでの凡ミスの嵐で気持ちが切れた。

チャンスはあった。4-5でリードされた第10ゲーム。相手のサーブで3本連続を含む4本のブレークポイントを握った。それを奪って5オールになっていれば、結果は違っていたかもしれない。全く女王の面影もなく、力なく赤土を去った。