来年の東京五輪・パラリンピックもトライアスロンがスイム抜きのデュアスロンになる? 水質の悪化で東京・お台場海浜公園で予定されていたパラトライアスロンW杯がデュアスロンに変更された問題で、国際トライアスロン連合(ITU)が17日の競技終了後に会見。今回がルールに基づいた変更で、東京大会本番でもデュアスロンとなる可能性はあるとした。

スイム中止は毎日2回行っている水質検査で、大腸菌の数値がITU基準を大きく超えたための処置。大会はラン2・5キロ、バイク20キロ、ラン5キロのデュアスロンに変更された。ITUのゲルゲイ・マーカススポーツディレクター(SD)は「選手の安全を最優先にITUルール通りの変更。安全にレースができてよかった」と振り返った。

15、16日のトライアスロン男女個人戦は水質の数値も基準値内で、心配された水温も基準となる32度に達せず予定通りスイムが行われた。ところが、16日に大腸菌の数値が急上昇。午後1時のサンプルではITU基準の倍を示すなど「4段階の評価で、最も悪いレベル4だった」とマーカスSDは残念そうに言った。

急激な水質悪化は、台風10号による大雨の影響とみられる。一時的に大量の雨が降ったために合流式下水道に処理しきれない生活排水が入り、それが東京湾へ流れ込んだ。大腸菌などの流入を防ぐスクリーンを設置していたが、それを超えて入り込んだようだ。

大会組織委員会と東京都は、水質改善のために水中スクリーンをテスト。3枚だと流入を抑制する効果は絶大だが、今回は「一定の効果はある」とされる1枚でテストしていた。組織委は来年の本番に向けて「3枚設置で考える」。水の循環がなくなることで水温上昇のリスクもあるが「最終決定ではないが、開閉式にして天気を見ながら開け閉めをしたい」と話した。

00年シドニー大会からの五輪や16年リオからのパラリンピック、01年から同じお台場で行われている日本選手権などでは水質悪化によるスイム中止はないが、過去には世界選手権などでもデュアスロンに変更された例は多い。今年6月のW杯ヌルスルタン大会もデュアスロンとなり、上田藍が優勝している。

ITUの大塚真一郎副会長は「選手には申し訳ないし、残念。今回のテストを検証して、来年につなげたい」と話した。天候が安定すれば水質は問題ないといえるが「自然を相手にするスポーツなので」と同副会長。スイム、バイク、ランの3つがそろっての「トライ(3つの)アスロン(競技)」だが、マーカスSDは「東京都、大会組織委員会と協力してリスクの小さい環境作りをするが、もし来年も同じような状態ならルール通りにデュアスロンになる可能性はある」と話していた。