「合宿取りやめ」が問題になった全日本テコンドー協会が1日、都内で選手やその所属関係者と協議会を行った。会は午前11時から午後3時までの予定だったが、協会側と選手側の意見が食い違って紛糾。出席者の一部が、途中退席する異例の事態となった。

全日本選手権8連覇中の江畑秀範(27=スチールエンジ)は2時間半が経過した時点で退席した。江畑は<1>選考を盾にした自費による強制合宿の変更<2>所属コーチと代表コーチの密なコミュニケーションなどを求めていたが、会は冒頭から紛糾したという。

選手が5月末に出した意見書に対し、協会は9月に回答書を掲載し、世界テコンドー連盟(WT)に「選手から一切不満はなくなった」と報告。これに選手は反発。江畑は「一切不満がないというのはうその報告です」と憤った。

協会側は、選手が回答書に不満を言わなかったことでそう報告したと説明。現体制への不満と、回答書への不満を切り離して、現時点で一切の問題がないかのような報告を行った。金原会長は「コミュニケーション不足。こうなった(騒動)ことに対して、選手への関心が薄かったとおわび申し上げます」と話した。

協会は8日に理事会を開催する。この日の会を反映して改善策を練るという。金原会長は「所属コーチが強化合宿に参加することも考える」と軟化の姿勢も見せた。ただ選手の訴えは2年以上前から続いており、問題が公になるまで対処しなかったことも事実。金原会長は現執行部のまま改善を目指す考えだが、江畑は「選手の協会への信頼はない。自分たちの力で頑張ろうと思うしか選手が生き残る道はないのか」と落胆していた。【益田一弘】