IOCが五輪のマラソン、競歩のコースを東京から札幌に移す検討をすると発表したことから一夜明けた17日、東京五輪の男子マラソンに内定している服部勇馬(25=トヨタ自動車)も戸惑いを隠せなかった。

「僕自身は東京の舞台を目指してマラソンを始め、ここまでやってきた。東京で開催して欲しい気持ちが強い。そのため陸連、東京都、警察、ボランティアらの方々がMGCを成功させてくれた。東京オリンピックに向けて万全の準備を整えてくれました。そういった重いをしっかり感じて欲しい」。競歩、マラソンの東京五輪代表選手が公の場に出でくるのは初だった。東京を目指してやってきただけに、その胸中を述べた。

服部は五輪本番と発着点以外は同じコースだったマラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)で2位に入った。何度も試走を重ね、結果的に勝負となる最後の坂で前を行く日本記録保持者・大迫傑(27=ナイキ)を追い抜き、内定を勝ち取った。今後、マラソンに挑む予定はないという。東京から札幌の開催となれば「走ったことがないコースになる。なかなか地の利を生かすことは難しい」。その上で「コースを決定をできるわけでもなく、何の権限もありません。決められたことに関しては、万全の準備をしていかないといけない」と強調した。

この日はMGCのメダルを持ち、地元である新潟・十日町の市役所で、関口芳史市長らを表敬訪問。「市民の方の応援が最後は力になった」と感謝を述べた。小、中学校時代はサッカー、クロスカントリーなど多くのスポーツを経験した。それが今に生きているという。「通年で走ることも大事だと思いますが、子どもたちにはいろんなスポーツをやり、いろんな可能性を広げて欲しい。いろんなことをやることで、いずれ突き詰めた時に役に立つのではないか」と子どもたちへのメッセージを語った。