6大会ぶり3度目出場の県浦和(埼玉)が玉島(岡山)を破り、花園初勝利を挙げた。

大声援が花園のグラウンドを支配した。開会式直後の第1グラウンドでの試合とあって、多くのOB、ファンが見守る中、ワンプレーごとに起こる大きな拍手に県浦和の選手たちがピッチで躍動し、勝利をもたらした。

何度もゴール前に迫りながら反則で得点を奪えず、前半は0-0。もどかしい時間帯が続く中、ついに待ち望んだトライの瞬間が訪れた。後半15分、モールで押し込みNO8松永拓実主将(3年)が左中間にそのままトライ。多くの県浦和ファンで埋まったスタンドが湧いた。勢いに乗った選手たちは、その後も大歓声に後押しされ攻め続け、リードを守り切った。

歴史的勝利に全国から集結したOBたちも喜んだ。試合前には手旗や文武両道を意味する「尚文昌武」の校訓が入ったマフラータオルを関係者全員に配り、スタンドで掲げて応援した。部員数も51人と少なく、中学までの経験者が各学年1人だけという初心者の集団。練習には毎回OBが時間を作って手伝った。三宅邦隆監督(37)は「たくさんの方に応援していただいているので本当にありがたい」。松永も「今まで頑張ってきた先輩方の思いも背負って、泥臭いプレーで勝ちたい」と感謝の思いを込めて試合に挑み、勝利をつかんだ。

2回戦は30日、初出場の青森山田と対戦。勝てば目標だった「花園で年越し」が実現する。全国の浦高OBに支えられ、選手たちは花園の大舞台で新たな歴史を作った。【松熊洋介】