フィギュアスケート女子で全日本選手権(25~27日、長野)2連覇を飾った紀平梨花(18=トヨタ自動車)が来春、早大人間科学部(通信教育課程)へ進学することが28日、分かった。現在は通信制の「N高」3年で、21日に合格通知を受けた。9月には同じ学部を五輪男子2連覇の羽生結弦(ANA)が卒業。紀平は日本とスイスを拠点にしており、羽生同様、競技と両立ができる環境で、22年北京五輪金メダルを狙う。

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全日本選手権2連覇の6日前、紀平はもう1つの喜びを手にしていた。eスクール(通信教育課程)である早大人間科学部の合格通知。関係者によると海外で競技に集中しながらでも、学べる点を重視したという。来季は22年北京五輪シーズン。紀平にとって、最適な環境が整った。

何より説得力のある“お手本”がいる。男子で五輪2連覇を果たした羽生は、ソチ五輪前年の13年春に宮城・東北高を卒業し、同学部に入学。カナダを拠点としながらオンライン授業などで勉強を進め、今年9月に卒業した。卒業論文は「考え得る限りの研究をした」とし、練習への相乗効果も期待できる内容だったという。羽生は人間情報科学、紀平は健康福祉科学と学科こそ異なるが、スケートで五輪の頂点に2度立った先輩は道標となりそうだ。

紀平は27日の全日本選手権フリーで4回転サルコーを初成功。一夜明け、会場の長野市ビッグハットで行われた「メダリスト・オン・アイス」では華麗な演技を披露した。前夜のフリー後には「1月中旬からはスイスに戻る予定。まずはトレーニングで強化し、スイスで一から頑張りたい」と今後を見据えた。18年のN高進学も、スケート最優先の環境を求めた決断だった。勉学は起床後や移動時間などを活用し、スマートフォンなどを扱いながら取り組んだ。早大入学で、来春以降も習慣を継続できる。

最大の目標に掲げるのは22年北京五輪での金メダル。その五輪の枠取りとなる世界選手権(21年3月、ストックホルム)に向けて、アイスショーでの演技後にあらためて決意を示した。

「4回転サルコーを決めることができて、すごく自信になりました。コロナ禍の中で開催されることに感謝して、世界選手権があれば、感謝の気持ちを表す演技にしたいと思います」

年の瀬につかんだ2つの喜びを胸に刻み、夢の実現へ、レベルアップを図る。

◆紀平梨花(きひら・りか)2002年(平14)7月21日、兵庫・西宮市生まれ。4歳で競技を始め、16年に女子世界7人目となるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)成功。17年全日本ジュニア選手権で初優勝し、18年GPファイナル、19、20年4大陸選手権優勝。コーチは浜田美栄氏と、スイスが拠点のステファン・ランビエル氏。27日閉幕の全日本選手権で2連覇。国際スケート連盟(ISU)非公認ながら、日本女子で安藤美姫以来2人目の4回転に成功。155センチ。

▽女子2位坂本 今年頑張ってきて、それが結果としてつながったので、とてもうれしかった。自分の演技をしっかりすること。自分の演技に集中したい。

▽女子3位宮原 すごく緊張したけど、精いっぱい楽しめたかな。さらに今の演技をブラッシュアップして、いい演技ができるようにしたい。

▽男子2位宇野 試合で見つかった課題を、次の試合で生かす練習がやっとできる。悔しさだったり、うれしさだったり、見つかった課題を、次の試合にぶつけられるように頑張ります。

▽男子3位鍵山 ショート、フリーともに攻めた演技はできたので良かった。(世界選手権は)今、持っている技術を磨き上げて。初めて出るので、何かいいものを残せたらいいなと思います。

▽アイスダンス1位小松原美里 (来年の)目標は変わらず、五輪の枠をしっかり獲得するということです。けがとか(に気をつけて)、健康をしっかり保つことを、まずはちゃんとしたいです。

▽アイスダンス1位小松原尊 毎日頑張って、一緒に楽しみにしていました。それを見せたいと思っていたので、楽しかったです。