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今日のイベント

【大会】

世界選手権

▼会場

スウェーデン・ストックホルム

▼種目

開会式(24日午後5時半=日本時間25日午前1時半開始)

ペアショートプログラム(SP、24日午後6時半=日本時間25日午前2時半開始)

男子SP(25日午前11時半=日本時間午後7時半開始)※時間はいずれも予定


今日の誕生日

織田信成(1987年)→Pick Up!


Pick Up! 織田信成

日本男子フィギュア界をけん引してきたスケーターが、34歳となりました。

柔らかい体を存分に生かし、ジュニア時代から国際舞台で活躍。05年世界ジュニア選手権では頂点に立ち、05-06年シーズンにシニアへ転向しました。1年目からグランプリ(GP)シリーズNHK杯を制し、06年4大陸選手権でも優勝。トリノ五輪出場こそ逃しましたが、世界にもその名を発信しました。

念願がかなったのは10年バンクーバー五輪。フリーで靴ひもが切れるアクシデントに見舞われながらも、7位入賞を果たしました。ソチ五輪選考会となった13年12月の全日本選手権後に「今日をもちまして、現役生活を退く決意をしました。(来年1月の)4大陸代表に決まっていましたが、若い選手にも頑張ってほしい」と表明。豊かな表現はもちろん、プロスケーターになってからも4回転ジャンプを跳ぶなど、人々を楽しませる滑りを見せています。


今日の1枚

日刊スポーツが蓄積してきた写真の中から厳選して紹介します。

2020年10月11日
2020年10月11日

2020東京フィギュアスケート選手権・ジュニア男子フリーの演技をする坂東凜。


今日の出来事

高橋大輔が日本男子初となる世界王者に(2010年)

世界選手権〈3日目〉

◇25日◇イタリア・トリノ、パラベラ競技場◇男子フリーほか

高橋大輔(24=関大大学院)が日本男子初となる世界王者の座についた。ショートプログラム(SP)1位で臨んだフリーは、前人未到の4回転フリップこそ失敗したが、その後は完璧な演技で168・40点をマーク。バンクーバー五輪でライサチェク(米国)が金メダルを獲得した時の得点を上回る、今季最高の257・70点で初優勝を飾った。同五輪での日本男子初のメダル(銅)獲得に続く快挙だ。SP4位だった小塚崇彦(トヨタ自動車)は10位に終わった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

最後のポーズを決め、高橋は恍惚(こうこつ)の表情のまま、しばらく止まった。世界一と認めた大観衆が総立ちで、たたえている。その光景を数秒間かみしめ、両手を振って応えた。「(五輪8位の)4年前のトリノでの悔しい思いを返せた。最高のパフォーマンスだった」。

冒頭に世界で誰も成功していない4回転フリップに挑んだ。最終滑走で他の選手の得点を考えれば、回避もできた。実際、悩んだ。直前の6分間練習ではトーループと2種類の4回転ジャンプを試した。長光歌子コーチには「どうしたらいい?」と聞いたが「滑り始めてから決めれば」と判断を委ねられた。

そしてリンクの上で決めた。「3回転で失敗したら悔いが残る」。決まれば基礎点11・30点だったが、回転不足で大幅に減点された。「練習でも1度も決まっていないし、無謀だった」と苦笑いも、果敢な挑戦で攻めの信念を貫いた。

1カ月前の五輪で日本人男子初のメダリスト。その時点で心の糸は切れた。練習に身が入らない。そんな時、心の糸を結び直したのは4回転フリップ。練習に取り入れ、高橋は「チャレンジを楽しめた」と、挑戦心に再び火がついた。

4年前の五輪を始め、過去の大会でズボンのヒモが取れたり、ジャンプ構成のミスで優勝を逃すなど何度も苦い思いをさせられたトリノの地。周囲には「自分にとっていい場所ではない」と弱音も吐いた。だがこの地での栄光は運命のようだった。フリー曲はイタリアの巨匠、フェリーニ監督の名作映画「道」。地元観衆の誰もが知る曲で男の色気を情緒豊かに演じた。ステップ、スピンはすべて最高難度のレベル4。総合得点はライサチェクの五輪金メダル時を上回った。

紆余(うよ)曲折を経ての世界一。08年10月に選手生命を脅かされる右ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂の重傷を負い、復帰した今季は2つの世界大会で日本人初の偉業を達成した。長光コーチは「ドラマでもこんな結末はくさい」と言った。14年ソチ五輪の挑戦は明言していないが、来年東京開催での世界選手権連覇が次なる目標だ。今回はライサチェクと五輪銀メダルのプルシェンコが欠場していた。「みんないて、気持ちが入った中で金メダルを狙いたい」。高橋の「道」には、まだ続きがある。