米カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く瞑想(めいそう)や睡眠など癒やしを提供する人気アプリ「Calm」を運営する会社が2日、テニスの全仏オープン(パリ)の記者会見を拒否して1万5000ドル(約165万円)の罰金を科せられた女子テニス世界2位の大坂なおみ(23=日清食品)への支持を表明し、「罰金を代わりに支払いたい」と申し出たことが明らかになった。

5月30日に行われた試合後の記者会見に応じなかった大坂に対して主催者が罰金処分を科し、大坂はその翌日にSNSで大会を棄権することを電撃発表。同時に2018年からうつ状態だったことを告白していた。

Calmは、2021年のテニス4大大会中にメンタルヘルス上の理由で会見への出席を取りやめたいと考えているすべての選手の罰金を支払う用意があるとSNSで発表。大坂のみならず、同様にメンタルヘルスの問題で苦しむ選手に手を差し伸べることを表明した。さらに、大坂の決断を支持するため、罰金と同額の1万5000ドルを仏の青少年スポーツ慈善団体に寄付することも明かしている。

メンタルヘルスなどを理由に大会を棄権した大坂を巡っては、スポーツ用品大手ナイキやスイスの時計ブランド、タグ・ホイヤー、オーディオ機器のビーツ・エレクトロニクスなど主要スポンサーが相次いで「勇気をたたえる」と支持を表明している。

米経済誌フォーブスはこうした一連の動きについて、人種差別など社会正義を巡る問題について積極的に自らの見解を表明して注目を集める大坂は、それ以前からスポーツマーケティングにおけるアイコンとなり得るクールさとグローバルにアピールする魅力を持つ存在だとみなされていたと伝え、今回の告白はスポンサーにとって必ずしもマイナスにはなっていないとの見方を示している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)