東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの選手村で取り扱う食料品宅配(ケータリング)サービスについて、国際オリンピック委員会(IOC)が「ウーバーイーツ」を認めるよう大会組織委員会に要請していることが20日、複数の大会関係者への取材で分かった。

感染リスクを恐れ、食堂での食事を敬遠する選手のために認めるべきと主張している。ただし認めれば、配達された物の中身は確認できないため酒類も自由に注文できてしまうなどの懸念もあり、組織委は難色を示している。

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メインダイニングホールと呼ばれる選手村の食堂は五輪開催時は1、2階合わせて約3000席が用意される。もともとは4300席だったが感染対策のために削減した。

組織委は感染対策として他にも1時間に3、4回換気することや、選手各個人が料理を取る仕組みからスタッフが配膳する方法へ転換。さらに各席にアクリル板を置き、消毒を徹底するなど対策に余念はないが、大会関係者によるとIOCは多くの選手が集まる食堂は、感染の危険性があると指摘しているという。

感染対策も兼ねて、IOCは食堂での食事を回避する選手にも、自室で食堂と同等の温かい食事を提供できるよう「ウーバーイーツ」の容認を要求した。組織委はもともと、食堂を運営している事業者にケータリングサービスも委託しているが、選手が練習会場や競技会場で食べることを想定しており、メニューは軽食が中心となっている。

仮に「ウーバーイーツ」を導入した場合、受取場所は限定的にする予定だが、その場所が混雑する可能性もある。また、組織委側は選手が何を注文したのかは確認できない。もともと入村時に持ち込めるアルコールの量は上限が決まっているが「ウーバーイーツ」を認めれば、アルコールの追加注文は確認できなくなる。

組織委はこの日の選手村公開で飲酒できる場所は居室のみとし、できるだけ1人での飲酒を推奨すると説明。宴会の実施も避けるよう訴えた。しかし、メダルを獲得した選手らの気分が高揚し、居室でも祝勝会へと転じる可能性は考えられる。そうなれば感染リスクは高まる。感染対策の観点で、IOCと組織委の間で意見が揺れている。