来年2月4日に開幕する北京冬季オリンピック(五輪)を目指し、海外で大会に参加したり練習拠点を置く選手について、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」に関係した場合は厳格な隔離措置が避けられないことが4日、分かった。世界的な急拡大を受け、政府は帰国者の待機期間を一律14日間に引き上げ。関係者によると、特例で練習可能になる調整が進む一方、オミクロン株の濃厚接触者などは陰性であっても例外と認められない方針が固まった。

五輪開幕までちょうど2カ月の日、選手への厳戒対応が明らかになった。海外の拠点や遠征先でオミクロン株に日本のアスリートが感染したケースはないものの、今後の帰国便の機内に感染者が出た場合、同乗していただけで練習許可の個別例外措置が適用されなくなる可能性があるという。

先月28日に国内で新変異株が初確認された際、ナミビアから入国した感染者と同じ航空機に搭乗していた乗客70人は全員濃厚接触者扱いとなり、自宅や宿泊施設での14日間待機を要請された。陰性でも健康状態と居場所の報告を求められ、該当すれば選手も従うしかない。冬季競技はフィギュアスケートが23~26日に北京五輪の代表最終選考会を兼ねた全日本選手権、スピードスケートが同27~30日に代表選考会を予定。運命の一戦に向けた最終調整や本番に最悪、影響が出る。

また、フィギュアでは紀平梨花を指導するオーサー氏(カナダ)ら大半の外国人コーチが全日本に向けて入国できないことも判明。戦略の再考を余儀なくされる事態もある。

ただし、新株禍に見舞われない限りは朗報もある。水際対策強化の影響が懸念される中、五輪直前の切迫性を考慮した政府は、待機中でも行動制限を徹底すれば練習はできるよう調整している。今夏の東京五輪は選手帰国時の緩和措置を設けており、政府関係者によると、冬季五輪を狙う選手にも同様の対応を取らなければ不公平、との理由でスポーツ庁が交渉している。内閣官房は強硬な姿勢で結論は出ていないが、選考会へ救済の流れは強まった。

対照的に、オランダから帰国したサッカーなでしこジャパン、スペイン遠征中のバドミントン代表など夏季競技のチームは現在、特段の事情には当たらないとして14日間の練習、試合不可が厳密に課されている。

 

◆おわびと訂正 5日に掲載した記事では、ランビエル・コーチが全日本選手権に向けて入国できないとしましたが誤りでした。確認が不十分でした。おわびして訂正します。