来年2月のバンクーバー冬季五輪に向けた合同合宿が10日まで3日間、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで行われた。スキー、スケートなどの冬季6競技の選手らが一堂に会する初の試みだったが、出席者からは賛否両論があった。

 競技の枠を超えて日本代表としての一体感を養うことが、主催した日本オリンピック委員会(JOC)の主目的だった。集団ゲームや「勝負脳の鍛え方」などの座学のほかに、他競技の選手と情報交換する場も設けた。

 スピードスケート女子の有望株、小平奈緒(相沢病院)は「他競技の練習に興味があった。こういう機会をつくってもらえるのはありがたい」と歓迎した。普段は交わることのない選手同士が知り合えた貴重な経験を評価する声があった。

 一方で「この期間を練習に充てた方が良かった」「印象に残る講義はなかった」などと、五輪に向けて始動する大事な時期に3日間を費やすことを疑問視する意見も出た。10人以上で1部屋に泊まらされた約半数の選手からは不満も聞かれた。

 1998年長野五輪後苦戦する冬季競技へのてこ入れ策の1つだが、大所帯だけに意識統一は難しそう。6月には第2回合宿を開くが、JOCバンクーバー対策プロジェクトの鈴木恵一副委員長は「参加を強制するつもりはない」と選手の意思を尊重する意向で、出席者は3分の1程度入れ替わるという。(共同)