北朝鮮の張雄・国際オリンピック委員会(IOC)委員ら2人が、東京都内で開かれるアジア・オリンピック評議会(OCA)総会に出席するため13日に来日した。

 日本政府は北朝鮮の拉致問題や核実験に対する制裁措置の一環として、北朝鮮国籍保有者の入国を原則禁じており、今回は「特例措置」として査証(ビザ)を発給した。「特例や恩恵ではない。オリンピックに国境はなく当然だ」と話した張委員は、韓国の平昌での開催が決まった2018年冬季五輪などについても語った。

 -南北の軍事境界線に近い平昌での五輪には、朝鮮半島の緊張緩和への期待もある。

 「過去2度の立候補の際、南(韓国)はそうしたプレゼンテーションをしてきたが、今回はその考えは古いと前面に出さなかった。招致成功は3回連続立候補への同情と、20年夏季大会への立候補を考える欧州勢に、18年冬季大会の欧州開催を避けようとする心理が働いたためではないか」

 -南北への影響は。

 「平昌開催が北南関係に果たす役割に期待する以前に情勢をこれ以上悪化させてはならない。今も非常に緊張している」

 -南北統一チームは。

 「今は議論の下地すらない」

 -韓国野党民主党から共同開催の提案もある。

 「どのような可能性もあるが、その時にならねば分からない。現在の状況は非常によくない」

 -スポーツ交流が外交を動かした例は多い。

 「その考えには同意しない。スポーツ交流を通じ、外交関係が改善する政治状況が用意されれば動くが、水面下の作業なしにスポーツ交流だけで事態が動いた例はない。今回も0CA関係者を除き日本や南の関係者と会う計画はない」

 -日朝のスポーツ交流の現状は。

 「これ以上悪くなりようがない状態だ。ただ日本のスポーツ界に問題があるとは考えておらず、日本政府に問題がある。サッカーなどで選手の往来ができなくなった。スポーツと政治は分離されねばならない」