東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島各県の中学生13人が12日、冬季ユース五輪(13日開幕・インスブルック=オーストリア)を見学するため成田空港から出発した。国際オリンピック委員会(IOC)の招待で、現地で競技を観戦、文化教育プログラムに参加して17日に帰国する。

 全員がスキーやスケートなど冬季競技をしており、実家が全壊したという岩手県陸前高田市立気仙中2年の三嶋萌さん(13)は「スケートの練習は全くできなかったけれど、今回の経験を生かして1秒でもタイムを縮めたい」と話した。福島県会津若松四中3年の五十嵐開君(15)は「世界のレベルをしっかり見て、自分の力にしたい」と抱負を語った。

 日本オリンピック委員会(JOC)によると、震災で親族を失った生徒もいる。視察団の団長を務める橋本聖子JOC理事は「スポーツは苦しみを乗り越えて強くなるチャンスを与えてくれる。この経験をエネルギーに変えてほしい」と出発前にあいさつした。