自民党スポーツ立国調査会の遠藤利明会長は5日、柔道女子日本代表の園田隆二前監督が選手15人から暴力行為などを告発された問題を受け、再発防止に向けた第三者機関設置を可能にする関連法改正案の今月中の国会提出を目指す意向を記者団に表明した。これに先立ち同調査会と文部科学部会は合同会議を開き、全日本柔道連盟(全柔連)などに組織運営の透明性確保を求めた。

 下村博文文部科学相は「日本のスポーツ史上最大の危機」として暴力の根絶を呼び掛けるメッセージを発表した。柔道女子トップ選手による訴えは、国会や国政に波及する異例の展開となった。

 第三者機関は、暴力問題の実態調査や是正勧告をする。スポーツ振興センター法を改正して、同センターに設置する方針だ。2020年夏季五輪招致を目指す東京を国際オリンピック委員会(IOC)が3月に現地調査に訪れる前に、超党派のスポーツ議員連盟で法案提出を目指す。

 民主党も文部科学部門会議でこの問題を検討した。林久美子座長は法改正について「スポーツは過去にも超党派でやってきた歴史がある。うまく進むと思う」との見通しを示した。

 自民党の合同会議には日本オリンピック委員会(JOC)の市原則之専務理事らが問題の経緯を説明した。出席者からは「認識が甘過ぎる」など批判の声が相次ぎ、JOCや全柔連執行部の責任問題を問う意見も出た。JOCの福田富昭副会長は「認識が甘いと言われれば甘いし、責任を感じる」と弁明した。

 この問題でJOCは「緊急調査対策プロジェクト」を設置し、告発した15選手から今月中に聞き取り調査をする予定。JOCは文科省の要請で、柔道以外の競技についても暴力行為の有無などを調べる。