全日本柔道連盟(全柔連)による日本スポーツ振興センター(JSC)からの指導者向け助成金の不正受給問題を調べた第三者委員会(山内貴博委員長=弁護士)が21日、最終報告を公表し、2007年度以降に助成金を受けた63人のうち受給資格のない27人が総額3620万円を不正に受給したと認め、上村春樹会長らの責任に言及した。同会長は報告書をJSCの河野一郎理事長に提出した。

 最終報告では、強化委員会が指導者への助成金を徴収した「強化留保金」のシステムで、全柔連は少なくとも3345万円を集めたとした。助成金の目的外使用にあたり、不正受給との合計は6055万円(重複分を除く)に上ると指摘した。

 4月下旬の中間報告で全柔連を「順法精神に欠ける」などと批判した第三者委はこの日、強化委員長などを務めた吉村和郎元理事が「最も重い責任を負う」とし、上村会長ら歴代の強化委員長や村上清事務局長にも責任があるとした。上村会長には吉村氏の任命責任なども問うた。山内委員長は記者会見で、続投する同会長について「今の対応でいいのか。考えていただきたい」と述べた。

 不正受給した27人のうち「全ての期間において受給資格が認められなかった者」が12人で、強化委メンバーながら担当選手との関わりはわずかにすぎない、などの事例を挙げた。15人は一部期間で指導実態が認められなかった。中間報告後に、理事会決議もなく「要望書」として第三者委に反論がなされたことも明らかにした。同委は「現場の意向を聞かず物事を決める全柔連上層部の体質がいまだに改善していないことの如実な証左」と強く批判した。

 JSCは強化留保金について返還を求める方針を既に示している。