2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとして建て替えられる国立競技場(東京都新宿区)の解体工事が29日にも始まることを受け、解体に反対する市民団体が16日、都内で記者会見し「改修が最善の方法。解体は看過できず、強く抗議する」などとする緊急声明を発表した。

 市民団体は作家の森まゆみさんらが共同代表の「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」。森さんは「国立競技場の事業主である日本スポーツ振興センター(JSC)は建て替えの理由として老朽化を挙げているが、耐震改修は済んでいる。建て替えの根拠は崩れており、解体を見直してほしい」と訴えた。

 共同代表の1人である清水伸子さんは国際オリンピック委員会(IOC)のマーク・アダムス広報部長から「JSCや20年東京五輪・パラリンピック組織委員会と話し合うべきだ」とアドバイスを受けたことを明らかにし「われわれ市民と公開の場で話し合う機会をつくってもらいたい」と語った。

 工事は7月に着手する予定が今月末にずれ込み、官製談合を疑う苦情申し立てが内閣府にあったことでさらに遅れる可能性が出ている。