韓国・仁川アジア大会でカメラを盗んだとして略式起訴され、罰金を納付した競泳の冨田尚弥(25)側が、実際には盗んでいないとして、19日に正式裁判を申し立てたことが分かった。仁川地検が21日明らかにした。仁川地裁での初公判は12月1日に指定された。

 これに対し、冨田の代理人の国田武二郎弁護士は21日、準備期間が少ないことを理由に、公判を来年に延期するよう申請手続きを取ったことを明らかにした。

 冨田はアジア大会中の9月25日に競泳会場で韓国メディアのカメラを盗んだとして、略式起訴された。だが今月6日に名古屋市内で記者会見し「カメラは盗んでいない」と窃盗行為を否定。見知らぬ人物からカメラをバッグに入れられたと主張し、韓国警察に再調査を求めた。

 複数の大会関係者や捜査関係者らは、事件翌日の26日に仁川南部警察署の捜査員が監視カメラの映像を基に事情を聴いた際、冨田は容疑を認めたと話している。

 冨田が記者会見で冤罪(えんざい)だと主張した直後に、同署関係者は「監視カメラに犯行の様子が写っており、冨田と特定できる」と述べていた。

 冨田は被害者と示談が成立している。帰国後、日本水泳連盟から2016年3月末までの選手登録停止処分を受け、契約社員として所属していたデサントからは解雇された。