<レスリング:全日本選手権>◇第1日◇21日◇東京・代々木第2体育館

 男子フリー最重量の125キロ級で優勝した荒木田進謙(26=警視庁)は「リオへの戦いが始まると思って緊張した。でも、いい形で勝ててホッとした」と満足そうに話した。

 五輪への思いは、人一倍強い。12年ロンドン五輪出場を目指したが、同年5月の最終予選前に左ヒザの全十字靱帯(じんたい)を痛めて断念。一度はレスリングを辞めようとまで思ったが、周囲の支えに後押しされてリオを目指すことを決めた。

 9月のアジア大会(韓国・仁川)では、銅メダルを獲得。78年バンコク大会100キロ以上級で谷津嘉章が優勝して以来のフリー最重量級のメダル獲得で「世界で戦う自信がついた」と話す。

 92年バルセロナ五輪に本田多聞が出場して以来、フリーの最重量級は五輪に出ることさえできない。軽量級重視の強化策で、国際大会の派遣さえ見送られることがあるほどだが「いい意味で反抗している。無理だというなら、オレが出てやる」と言い切る。

 まずは来年6月の全日本選抜に勝って9月の世界選手権(ラスベガス)代表になり、そこで五輪出場権を獲得するのが目標。「一発で決めたい。五輪に出場すること。そして、メダルもほしい」。荒木田は力強く話した。