<レスリング:全日本選手権>◇第2日◇22日◇東京・代々木第2体育館

 女子48キロ級で優勝した登坂絵莉(21=至学館大)は「ケガが多くて普段の20~30%の状態。練習ができなくて、スタミナにも不安があった」と振り返った。

 決勝まで失点0で勝ち上がったが、決勝では同じ高岡市出身で子どもの頃から一緒に練習している宮原優(20=東洋大)に苦戦。残り30秒で投げを決めて6-2で勝ったが「優ちゃんもガンガン攻めてきて、きつかった」と話した。

 世界選手権、アジア大会に優勝して「これまでで1番濃い1年だった」と話したが、その代償も大きかった。アジア大会後に右足親指を痛め、その後もヒジやヒザ、腰などを次々と負傷した。12月に入ってからは右足のスネを痛めて走れなかった。「練習できたのは2、3週間。マットだけで走ることはできなかった」という。

 部の不文律は「朝練を休む者はマット練習もできない」。主将という立場もあって悩んだが、尊敬する吉田沙保里からの「周囲を気にせず、勝つことに集中した方がいい」という言葉に支えられた。

 来年の世界選手権、16年のリオデジャネイロ五輪の代表選考方法は23日の理事会で決まるが、大きく前進したのは間違いない。「リオに少し近づけたかな」とも言った。「勝つたびに、試合に出るのが怖くなる」と負けられない王者の悩みも明かしたが、それも吉田らが通ってきた道。「沙保里さんと一緒に金メダルがとれるように、やっていきたい」。登坂は、吉田沙保里のような決意を込めた強い口調で言い切った。