フィギュアスケート男子の町田樹(24=関大)が突然の引退表明から一夜明けた29日、長野市ビッグハットで全日本選手権の上位選手らによるアイスショーに出演し、涙のラストダンスでファンに別れを告げた。持ち味の情感あふれる滑りに観客は総立ちとなって拍手を送った。

 ソチ冬季五輪5位、世界選手権銀メダルと活躍した昨季のショートプログラムで「町田樹史上最高傑作」と自賛した「エデンの東」の音楽に乗って熱演し、3回転半ジャンプも鮮やかに成功。氷上でマイクを握ると涙を浮かべ、声を詰まらせながら「何も思い残すことなく堂々と誇らかに引退することができる。本当にいい競技人生だった」とあいさつした。

 「最後にもう少しだけ滑らせてください」と言うと、エキシビションの演目をもう一つ披露し、感謝の思いを伝えるように氷に手を当ててからさっそうと銀盤を去った。