柔道男子重量級で一時代を築いた斉藤仁氏の訃報に、柔道界は悲しみに包まれた。

 東京都文京区の講道館にある全日本柔道連盟(全柔連)には20日午前、山下泰裕副会長が姿を見せ、沈痛な面持ちで「人生で最大で、最高のライバルだった。残念です」と話した。全柔連事務局の電話は次々と鳴り、職員が対応に追われた。

 1988年全日本選手権決勝で斉藤氏に敗れた正木嘉美・天理大教授は現役引退後、コーチとして日本代表監督を務めた斉藤氏を支えた。「指導者になってからの付き合いの方が親密で、ものすごく繊細な指導者という印象が強い。ショックです」と悼んだ。11日に大阪府東大阪市の病院を見舞ったといい「10分ほどしゃべった。やつれておられた。(88年は)あの人の全日本への執念に負けた」と、故人との思い出を語った。