米首都ワシントンを本拠地とするプロフットボールNFLの「レッドスキンズ」の名称は米先住民(インディアン)の蔑称だとして、先住民らが改称を求め続けている。チーム側は強く拒否するが、最近になってオバマ大統領も改称を支持、論争が活発化している。

 「意図的ではないにしろ、相当数の人々が不快に思っているのであれば、私がオーナーなら変更を考える」。人種差別を自ら体験してきた黒人のオバマ大統領がこのほどAP通信にこう発言し、長年の論争に再び火を付けた。改称の要求は法廷闘争にもなっている。

 レッドスキンは直訳すれば「赤い肌」という意味だが、「北米先住民を表し、侮辱的」(オックスフォード現代英英辞典)とみなされる。

 チームは1932年に東部ボストンで創設され、翌年「レッドスキンズ」をチーム名とした。本拠地はワシントンに移ったが、名称は80年間変えずにきた。先住民の「力強さと勇気、誇り」を意味するとしている。

 オーナーのスナイダー氏は「決して変えない」とかたくなだ。オバマ氏の発言後の今月9日にファンに宛てた手紙でも、チーム名は多くの先住民に受け入れられていると訴えた。

 米国は、白人が先住民の土地を奪って建国され、肌の色の違いによる激しい人種差別の歴史を持つ。黒人が白人と同等の権利を求めた公民権運動と並行する形で、先住民らは60年代から先住民の名前やマスコットを使わないよう公的機関などに働き掛けてきた。

 米メディアの一部では、「ワシントンのチーム」などと呼ぶことで、レッドスキンズの名称使用を避ける試みも始まっている。先住民団体のリーダーの一人、スーザン・ショーン・ハルジョさん(68)は「首都の出来事は全米に影響がある」として、運動に力を入れている。