日本オリンピック委員会(JOC)は4日の加盟団体審査委員会で、日本バスケットボール協会に対し「退会処分に相当する」という厳罰を決めた。同協会の人事対立による混迷により、JOCの指導のもとで役員選出を行うよう通知していたが、それを無視して今月2日に役員選考をしたため。JOCは18日の理事会、評議員会で最終決定する。JOC正加盟団体の退会処分は初めて。補助金は停止され、国際大会への選手派遣も規約上はできなくなるため、6月に北京五輪世界最終予選を控える日本女子代表に影響が出そうだ。

 JOCが前例のない退会処分で、バスケット協会に三くだり半を突きつけた。加盟団体審査委員会終了後、市原則之委員長は「再三にわたったJOCの指導、助言を無視してきた。約1年間も選手無視の権力闘争」と、人事対立が続くバスケット協会を断罪した。

 役員人事での覇権争いで、1年前から同協会の混乱が続いた。このためJOCは1月28日に、JOCと協議の上、役員選任をするように同協会に通達した。しかし、同協会は2日の臨時評議員会でJOCに連絡なしで協会は次期役員候補を承認。これにJOCは激怒。市原委員長は「個人の強引な手法。まさにワンマン体制」と、石川武会長代行をあからさまに非難した。

 発端は06年に国内で開催された男子世界選手権で約13億円の赤字を計上したことだった。補正予算案が否決され、その後も人事案否決など評議員会は7度も流会した。長年にわたる石川会長代行のワンマン体制に反発する勢力との権力闘争が泥沼化した。

 すでに一連の騒動で07年度のJOC強化交付金の約1100万円は中止されている。退会処分が正式承認されれば、文科省からの約3000万円の補助金カットは必至。経費の約3分の2を国とJOCが補助しているナショナル・トレーニング・センター(NTC)使用料もすべて協会持ちとなり、選手強化に大きな影響を及ぼす。

 一方、退会処分となれば五輪やアジア大会など国際総合競技大会への出場も不可能になる。すでに男子は北京五輪への道は断たれているが、女子は世界最終予選を控えている。JOCの遅塚専務理事は「選手には迷惑をかけたくない。特例での派遣も考えられる」と救済措置を考慮した上で「加盟資格の1年間停止というのも考えられる」と処分の軽減も示唆した。【吉松忠弘】