【イエーテボリ(スウェーデン)17日=菅家大輔】安藤美姫(20=トヨタ自動車)が「荒川流」の荒技で2連覇を狙う。フィギュアスケート世界選手権は18日に開幕。女子で連覇を狙う安藤は16日夜とこの日の午前に大会会場のスカンジノービアムで公式練習を実施。ショートプログラム(SP)の楽曲を前回大会優勝時に使用した「シェエラザード」に変更することを明かした。大会直前での楽曲変更はトリノ五輪の時の荒川静香と同じパターンだ。

 世界女王が奇策で勝負に出る。2回の公式練習で流されたSPの楽曲は「シェエラザード」。大会直前、異例の楽曲変更。驚く周囲をよそに、気持ちよさそうに音楽に乗って演技をこなし「自分をより表現できる。ジャンプなども良い感じになるので変えた」と淡々と説明した。

 今季使用していた「サムソンとデリラ」でもまずまずの結果を残しており、楽曲との協調性を重要視される競技としては異例の策だ。だが、最後の決戦に向けて自分の演技を最大限に発揮するために、昨年12月の全日本選手権後から変更を視野に入れ検討を開始。今年2月の4大陸選手権終了後にモロゾフ・コーチとともに決断した。

 変更を決めると、合宿を行っていたオランダ・へーレーンフェーンに米国から編曲などの専門家を招聘(しょうへい)。「曲が完成したのは3~4日前」と苦笑いを浮かべるように、ギリギリで間に合わせた。前回大会で使用した曲を微妙にアレンジしたが「昨年滑っているので自分の中でイメージしやすい。プログラムは(今までと)同じだし、気持ちよく滑りたい」。SPで勢いをつける環境が整った。

 大会直前の楽曲変更は、トリノ五輪金メダリストの荒川静香と同じパターンだ。荒川は五輪前の06年1月にフリーの楽曲を04年世界選手権優勝時の「トゥーランドット」に、直前にはSPの楽曲も変更した。日本連盟の伊東フィギュア強化部長は「(直前の変更は)荒川と同じパターンだし、運も味方すればいいね」と前向きにとらえた。

 4大陸選手権で挑んだ4回転サルコーも「100%の状態で跳べないので、今回は跳びません。(全体で)100%の力を出し切ることが大事だから」と封印することを明言。「勝負モード」で日本人初の連覇を目指す。