この春、下川商高を卒業したスキージャンプの伊藤謙司郎(18)が、新たな1歩を踏み出した。29日、札幌に本社を置く土屋ホームグループの入社式に出席した。真新しい黒のスーツを身にまとい「世界ジュニアの滑走のときより緊張しました」と苦笑する1日となったが、ジャンプの話になると表情は一変。10年バンクーバー五輪出場へ、強い意欲を見せた。
「こんなに悔しいシーズンは初めて」と漏らすほど、今季は不振にあえいだ。世界選手権団体ではメンバーから外れ、W杯代表も逃した。金メダル取りにと挑んだ世界ジュニアも12位に終わった。成長期の体の変化に筋力がついていかず、昨夏からジャンプの改造に着手したことも影響し、結果を残せなかった。それでも「技術面で何をすべきか分かってきたし、とてもいい勉強になった」と来季の糧にする自信はある。
同社では伊藤の入社を機に、4月中旬から若手中心の沖縄合宿を行うことを決めた。同じ下川町出身の伊東大貴(22)とともに、基礎体力を強化するのが狙い。砂浜での走り込みや、自転車トレーニングを主に、世界で戦える体をつくっていく。木下義幸監督(45)は「キャプテンの葛西(紀明)のように、10年、20年と長く活躍させるため」と成長を後押ししていく。
支援態勢を無駄にはしない。「合宿では無駄肉を筋肉に変え、葛西さんのような鋼のような体をつくりたい。一から出直す気持ちで世界を目指したい」。目標の五輪へ、新天地での再起を誓った。【奥村晶治】


