柔道男子100キロ超級で北京五輪代表を狙う石井慧(21=国士舘大)が、大ピンチに陥った。左大殿筋断裂のため、全日本選抜体重別選手権(5~6日、福岡国際センター)を欠場すると3日、全柔連が発表した。加藤光将(24=愛知県警)が代替出場する。同級の五輪代表は同選手権と全日本選手権(29日、日本武道館)が国内選考大会のため、その1つを欠場することは石井にとって圧倒的に不利。昨年の世界選手権無差別級金メダル棟田康幸(27)がさらに優位な状況になった。
石井が逆転での北京五輪代表へ向けて極めて厳しい状況に立たされた。3月25日、国士舘大での練習中に負傷し、診断は「左大殿筋断裂、3週間の安静と加療が必要」。関係者によると満足に歩けない状態のため、石井本人は全日本選抜体重別への出場を希望したが、周囲との協議の結果、全日本選手権の一発勝負にかけることになった。
アジア連盟が定める五輪の個人出場資格を取るために出場し、優勝した3月中旬のカザフスタン国際の前後から患部に違和感を抱えていた。直後の韓国合宿が受け入れ先の都合で中止となり帰国したが、その後もペースを落とさず積極的にけいこを実施。だが、2月の国際大会から続く過密日程と自慢の練習量が、ここにきてあだとなった形だ。
昨秋の100キロ超級転向後、急速な成長を見せ、2月のオーストリア国際でも優勝した。代表争いで無差別級世界王者の棟田に次ぐ2番手につけた。一気に逆転を狙ったところの重傷に、全柔連の吉村和郎強化委員長も「(国内選考大会は)2つで1つ。1つを出ないということは大きなマイナスであることに違いない。全日本で勝っても内容を問われる」と厳しい見解だ。
石井は「北京五輪代表選考会の大会を欠場するのは非常に無念ですが、五輪出場はあきらめていません」と全柔連を通してコメントした。今後は患部に負担をかけない筋トレを行いながら、母校国士舘高にある高濃度酸素カプセルなどを使い治療を進め、全日本選手権に強行出場する意向だ。
全日本選手権では順当に勝ち進めば棟田と準決勝で対戦する可能性が高い。男子日本代表の斉藤監督は「本人が一番、現状を分かっていると思う。(五輪代表は)全日本で棟田に勝って優勝することが最低条件」と話した。「全日本選手権にすべてをかけます」と石井。奇跡を起こすため、今は治療に集中する。【菅家大輔】



