<柔道:全日本選抜体重別選手権>◇初日◇5日◇福岡国際センター◇男子4階級、女子3階級
男子60キロ級の野村忠宏(33=ミキハウス)が目標とする五輪4連覇に向け窮地に立たされた。1回戦から動きに精彩を欠き、準決勝で浅野大輔(24)にまさかの優勢負け。急成長中の平岡拓晃(23)が実力を見せつけて優勝したため、内容も悪かった野村の「北京五輪代表最有力」という評価が大きく揺らぐこととなった。6日の最終日の試合後に行われる強化委員会で、男子100キロ超級と女子78キロ超級を除く男女計12階級の代表が発表される。
試合終了のブザーが鳴り響くと、野村は畳にガクンとひざを落とし、ぼうぜんとした表情を浮かべた。準決勝敗退。即座に現実を受け入れられなかった。「今はショックとふがいなさでいっぱいです…」。五輪4連覇どころか、北京五輪出場に黄信号がともった瞬間だった。
何かがおかしかった。初戦から格下の豊田に大苦戦。延長戦で何とか競り勝った。準決勝の浅野戦では、相手に圧力をかけるものの、肝心の技が出ない。3分40秒、背負い投げで技ありを取られた。小内刈りで効果を奪い返したものの、良いところなく敗れ「心のどこかに、おれが代表になれる、この選手には勝てるやろ、という持ってはいけない余裕があった」と慢心を悔いた。
「夏季五輪(の現存種目)で4連覇は4人だけ。その4連覇を成し遂げたい」。偉業達成への執念で、昨年5月に負った右ひざの重傷を乗り越えた。高校時代のライバル川畑達哉氏(33)を個人トレーナーとして迎え、再発防止のため患部をがっちり固定しながら、可動域を狭めない独自のテーピング法を開発。ケアも調整も万全で臨んだが結果につながらなかった。
過去五輪3大会の国内選考会は全勝。本番にピンポイントで合わせる調整力と勝負強さが、4度目の今回ついに崩れた。同時に野村に絶対的な信頼を寄せていた首脳陣の評価も急転。男子代表の斉藤監督は「野村の出来は最悪。平岡が今の勢いを五輪に持って行ければ(代表は)平岡。3連覇の経験とオーラを取るなら野村」と話せば、全柔連の吉村強化委員長も「今日を見たら(評価が)変わるかもしれない」と微妙な言い回しに終始した。
予想だにしなかった五輪出場の危機。野村は「勝負師として持ってはいけない感情で勝負してしまった。五輪?
そりゃ出たいです。チャンスをもらえたら、とは思います」とつぶやいた。6日、運命の審判が下る。【菅家大輔】


