<柔道:全日本選抜体重別選手権>◇初日◇5日◇福岡国際センター◇男子4階級、女子3階級

 女子70キロ級のアテネ五輪金メダリスト上野雅恵(29=三井住友海上-旭川南高出)は、らしさがみられず準決勝で敗退した。実績などから北京五輪の代表切符はほぼ確実だが、格下相手に攻められ、五輪連覇に向けて課題を残した格好になった。

 鬼門の準決勝でつまずいた。1回戦は残り30秒で1本勝ちしたが、続く準決勝は25歳の岡の速い動きにほんろうされた。残り2分30秒で反則から指導が入りそのまま敗れた。4年前もアテネ五輪最終選考だった今大会準決勝で敗れており、「向こうが、がちゃがちゃした動きで、自分の組み手にならなかった。もっとどっしりしていれば」と反省した。

 女王の敗退で場内は騒然としたが、代表争い「有利」は動かない。優勝した岡は、五輪を見据えた1月からの欧州遠征に選ばれていない。実績重視の今までの流れからみても、上野雅が選ばれそうだ。日本女子代表の日陰暢年監督も「いつもの上野雅ではなかった」としながらも「指導は自分から攻めてのものだから」と評価は高いままだった。

 ただし、日陰監督は「世界と戦うには技と技とのつなぎとか、もう一度作り直さないとだめ。本人も感じていると思う」と課題も口にした。本番の北京まで残すところ、4カ月弱。上野雅も「気持ちを切り替えていきたい」と出直しを期していた。【松末守司】