フリースタイルスキー・モーグル女子の里谷多英(31=フジテレビ)が、今季から長野・白馬に活動拠点を移したことが1日、分かった。これまでは主に札幌でトレーニングしていたが、より練習に集中できる環境を求め、移住を決意した。すでに同地で1人暮らしをスタート。98年五輪で金メダルを獲得した思い出の地長野から10年バンクーバー五輪を目指す。

 元女王が再起の場所に選んだのは、思い出の地長野だった。里谷は5月中旬からすでに現地に入り。全日本ジュニアの切久保コーチが白馬村で経営する民宿の一部屋を間借りし、世俗を断った山奥で毎日約4時間、練習漬けの日々を送っている。「周りには何にもないから、何も考えないでやれる」。トレーニングだけに集中している。

 甘えを捨てるにはこれしかなかった。これまでは自宅のある札幌市内が主な練習場所。しかし、全日本からは離れて活動することが多い里谷は、個人のコーチ不在で、メニューも自らつくる。自然と練習は不足がちになった。バンクーバー五輪まであと2年。思い切って何かを変えなければ、五輪代表はおぼつかない。そこで選択したのが、親元を離れ、自活することだった。

 最高の環境が整った。コンビニまで車で30分かかる変わりに、走り込みを行うクロスカントリーコースは裏山にある。夏場の練習には欠かせないウオータージャンプ場も車で約10分。「今までは五輪前だけって言われたけど2年間、継続してやりたい」。身の回りのことは自分でこなし、高校生以来となる日誌もつけ始めた。「いろいろ挑戦して自分がどこまで変われるか。優等生になる」と気持ちを入れ替えた。

 33歳で迎えるバンクーバー五輪に出場すれば、冬季五輪日本人最多タイの5大会連続出場となる。1日から始まった全日本の国内合宿には呼ばれず、今季からのW杯代表復帰は微妙。里谷を待ち受ける状況は依然と厳しい。それでも、五輪への思いは薄れることはない。「2年も離れていたし、メダルを取ったころと状況が違う。はい上がって来年3月の世界選手権(福島・猪苗代)の代表。そして、五輪につなげたい」。長野から復活ロードを歩み始めた。