北京五輪の陸上男子ハンマー投げで、繰り上がりの銅メダルが濃厚となった室伏広治(33=ミズノ)が「貝」になった。2、3位のベラルーシ選手2人が競技後のドーピング検査で禁止薬物に陽性反応を示したことが3日に判明。一夜明けた4日、愛知・豊田市の中京大で練習を行った室伏は、所属先を通じ「何ともお答えできません」とコメント。相次ぐ薬物騒動に対し、複雑な心境をのぞかせた。国際オリンピック委員会(IOC)が今月末に開く規律委員会で違反を確認すれば、室伏の銅メダルが正式に決定する。

 5位から繰り上がりの銅メダルが濃厚になった室伏は、固く口を閉ざした。一夜明け、所属先を通じて「正式な連絡はありませんので何ともお答えできません」とコメントを出した。

 この日午前11時から中京大の室内練習場で汗を流したが、集まった報道陣はシャットアウト。都内から呼び寄せたマネジメント担当者を通じ「お引き取りください」と通達した。

 素直に喜べるはずがない。同担当者は「本人は困っている」と代弁。同様の過程で金メダルに繰り上がったアテネ五輪に続き、室伏の愛するハンマー投げにまたも薬物が影を落とした。6月に開いた講演会で「成績も大切だけど、一番大事なのは『ヘルシーマインド、ヘルシーボディー』(健全な精神と肉体)」と力説していた直後だった。しかも今回は腰痛で、不本意な記録に終わっていた。

 検査で陽性反応を示した2選手のうち、3位チホンとは長年の宿敵で友人でもあった。昨夏の大阪世界選手権では3連覇を果たしたチホンに付き合って一緒にウイニングランをしたほどの仲だ。IOCによる規律委員会は出席者の日程の都合で今月末に開催される。そこで2選手の違反が確認されれば、5位だった室伏が繰り上げで銅メダルを手にする。約3週間も複雑な心境で待たされるが、決まれば会見を開く予定だ。

 8月25日に北京から帰国後は同28日に練習を再開。悩まされた腰痛の経過も良好で、23日のスーパー陸上(等々力)出場を目指している。今はただ静かに、真実が明かされるのを待つだけだ。【太田尚樹】