<大分国体>◇4日目◇9月30日◇大分県消防学校グラウンドほか

 アーチェリー成年女子の静岡が、決勝で神奈川を206-192で下し3年連続3度目の優勝を飾った。県勢の大会3連覇は初の快挙。予選で個人2位に入った長岡光江(日体大3年)を中心に14点差をつけ、雨の中でも安定感抜群の試合運びを見せた。

 最後の1射を放った長岡は、小さい声でつぶやいた。「行けっ!」。9点の的を射抜くと3連覇を確信し、ガッツポーズを繰り出した。「去年より気持ちに余裕があった。実力も点数も上がった。勝つ気で来ましたので、ずっと勝つイメージでした」。予選では個人2位に入った絶好調の元気娘は、満面の笑みで14点差の大勝を振り返った。

 3人1組で臨む団体戦。年齢も所属もバラバラだが、チームワークは抜群だ。昨年の大会後、日体大の授業でロス五輪体操金メダリストの具志堅幸司教授の話を聞いた長岡は、スポーツにおけるメンタルの重要性を知った。「スラムダンク勝利学」などスポーツ心理学についての本を読みあさり、近藤真弓(38)と鈴木久美子(32)に薦めた。大会中、長岡がふと部屋を見回すと「みんな同じ本を読んでいた」。年齢差17歳のトリオは「優勝への執念」で結ばれていた。

 V3決定後は、20代と30代で喜び方が分かれた。ベテランの2人は涙を流し、勝利の味をかみしめた。9月21日の結団式で、選手代表で決意表明した鈴木は「(3連覇すると)言ってしまったからには、やらないと。絶対勝つという気持ちでした」。土日は練習漬けになるが「理解がある」という夫の直道さん(42)に感謝した。最年長で国体8度出場の近藤は「最後にミスしてしまったが(あとの2人を)信じてました。もうやめられない」と連覇記録を伸ばしていくことを誓った。

 準決勝では214点の大会新記録を樹立した最強トリオ。今後も黄金時代を築いていく。【斎藤直樹】