16日の東京国際女子マラソンで初優勝した尾崎好美(27=第一生命)が17日、来年4月5日のロッテルダム・マラソンに出場したい意向を示した。同8月の世界選手権(ベルリン)に内定しており、選考レースとの間にフルマラソンを挟む計画は異例。12年ロンドン五輪を見据えて、海外経験を積むことも狙いの1つになる。91年世界選手権(東京)で銀メダルを獲得した山下佐知子監督(44)も成功したホップ・ステップ・ジャンプの3段階方式で、世界の舞台に挑戦する。

 逆転優勝から一夜明け、尾崎は早速、次の目標に目を向けた。山下監督は「ロッテルダム・マラソンを考えています。今のうちに、海外マラソンの経験をしておいた方がいい。40キロ走と思えば問題ない。最終決定は、これからですが」と明かした。尾崎も「自分も海外のレースをもっと経験したい。そのプランには賛成です」と続けた。

 今まで五輪や世界選手権に臨んだ日本選手にはなかった考え方だ。選考レースで代表権をつかんだあとは、本番に向けてじっくり調整、という流れが一般的。選考と無関係の大会で過度に疲労すれば、本番に影響する可能性もある。山下監督は「失敗すればたたかれるかもしれない。もちろん、慎重にやらないといけない」とも話した。

 成功例がある。山下監督は現役時代、90年8月の北海道マラソンの結果が評価され、91年8月の世界選手権の代表に選ばれた。だが、同3月の名古屋国際女子マラソンに出場した。優勝して、世界選手権へ弾みをつけた。名古屋の4日前に代表が決まったという事情もあるが、師匠の成功体験は、尾崎にとって心強い。

 山下監督は「私は東京ではよく走れた。東京の1年後(92年バルセロナ五輪4位)の方が走れなかった。コンディションの持っていき方次第だと思います」と話す。09年世界選手権の結果は、五輪選考に関係ない。「五輪に出るまでは陸上はやめられない」と言う尾崎にとって、4年後のロンドン五輪への布石でもある。最終決定は12月の全日本実業団女子駅伝の後。世界で羽ばたくため、慎重に結論を出す。【佐々木一郎】