<バレーボール・全日本選手権:トヨタ車体3-0パイオニア>◇23日◇決勝◇神奈川・川崎市とどろきアリーナ

 無名の集団が不況を吹き飛ばす勢いで日本一に輝いた。日本代表経験者わずか1人のトヨタ車体が、日本代表のエース栗原恵(24)を擁するパイオニアにストレート勝ちした。親会社のトヨタ自動車が、世界的な景気悪化と円高のため、来年3月期に1500億円の初の営業赤字を予想したばかり。「トヨタショック」にも負けず、51年(昭26)の創部以来、念願の初優勝を成し遂げた。男子は東レが2年ぶり6度目の優勝を飾った。

 無名の選手たちが強豪相手におもしろいように得点を重ねた。現在、Vリーグ10チーム中、9位のトヨタ車体がよもやのストレート勝ちで優勝だ。かつて女子日本代表やNECを率いた名将、葛和伸元監督は「最後まであきらめずに戦ったのが勝因」と、胴上げで3度、宙に舞った。

 ジャンピングサーブで、11連続含む13得点の都築主将は「最高です。目の前の1点を精いっぱい取りに行こうとした」と話した。日本代表経験者は06年世界選手権の高橋ただ1人。しかし、栗原、多治見、庄司、佐々木ら豊富な代表経験者をそろえるパイオニアに対して、勢いは最後まで途切れなかった。

 「トヨタショック」のトヨタ自動車から約9割の発注を受けている会社のためにも、何とか明るい話題を提供したかった。Vリーグのプレミア(最上位)リーグに昇格して3季目。チーム予算も下位リーグの時と同様レベルで、それも昨年度の3分の2ほどに削減された。選手は全員アマチュアの社員だ。今大会の優勝賞金1000万円は、チームにとって大きなクリスマス・プレゼントとなった。チームの谷口副部長は「会社にも、今こそバレーのように力を合わせて行けると思ってもらえたら、恩返しができたのかな」と誇らしげだった。【吉松忠弘】