<男子テニス:ブリスベーン国際>◇6日◇オーストラリア・ブリスベーン
日本男子のエースで世界61位の錦織圭(19=ソニー)が、09年シーズンを最高の形でスタートした。今季開幕戦初戦で、予選勝者の同68位ボビー・レイノルズ(26)と対戦し、6-3、6-2とストレート勝ち。わずか59分間での快勝だった。昨年12月29日には世界の「ジャンプアップ適齢期」ともいえる19歳になり、松岡修造が持つ日本男子最高の世界46位超えと、2週間後の全豪オープンに弾みをつけた。7日の2回戦では、同20位で第5シードのベルディハ(23)と対戦する。
錦織が今季初戦の重圧をはね返した。スタートこそ硬かったが、第1セットの3オールから一気に5ゲームを連取。「緊張していたが、うまくゲームに入れた」と波に乗り、そのままストレートで押し切った。「武器のフォアが打ててないので50点」と自己採点は厳しい。それは成長し、自分に求めるものが高いレベルとなった証しだ。
昨年12月30日にオーストラリア入りした。ツアー開幕戦出場は初めてで、期待と不安が入り交じった。この日は第1シードで昨年の全豪覇者ジョコビッチが初戦で敗れる波乱があった。トップ選手でも難しいのが開幕戦。さらに相手のレイノルズには、過去1勝2敗と負け越していた。「負けた記憶しかなくて苦手な意識があった」。それでも見事に快勝した。
今年は錦織にとって、大きな変革期だ。世界の男子テニス界で19歳は、大きく飛躍する「適齢期」。現在世界1位のナダルは、19歳になった05年に、50位から2位まで躍進した。フェデラーもジョコビッチも同様の道を歩んだ。身体が出来上がるのと、ツアーに慣れてくるのが重なる時期で、父清志さんも「大人への変化を遂げる年」と話す。
その重要な時期を見越し、錦織はオフシーズンに、課題だったサーブ改善に取り組んだ。手首がうまく使えるように、ラケットを立てて握りやすい「パワーグリップ」と呼ばれる握り方に変更。好調な時にスタイルや用具を変えるのはリスクもあるが、将来を見据えて踏み切った。そのサーブで、この日は5本のエースを奪った。
環境の点でも変化があった。練習拠点の米フロリダ州IMGアカデミーから数分のところに、1LDKのコンドミニアムを購入。昨年末に、引っ越しが完了した。一国一城のあるじとして「第2の故郷になる足場ができて良かった」と、清志さんは話した。
昨年11月、写真週刊誌に卓球の福原愛とのデート現場を撮られた。清志さんは「かわいそうですが、(日本では)自分が同じ19歳とは違うと少し自覚したようです」と、私生活まで取りざたされることに同情しつつも、トップアスリートとして自覚が芽生えつつあることも感じている。
今年の目標を、錦織は「トップ50への定着と4大大会での活躍」という。この日の快勝で勢いに乗れば、「松岡超え」となる世界ランク46位突破も見えてくる。2週間後には、今季最初の4大大会全豪も控える。成長した19歳が、「飛躍の年」のスタートを最高の勝利で飾った。


