スキー距離の夏見円(30=JR北海道)が6日、W杯に向けて新千歳空港を出発した。経由する成田空港から7日、カナダに向かう。2月の世界選手権(チェコ・リベレツ)代表に正式には決まってないが、07年札幌大会スプリントで距離史上初の5位入賞を果たすなど最有力候補。大会ではメダル奪取の期待がかかる。同じく世界選手権代表有力候補、複合の高橋大斗(28=土屋ホーム)はこの日、W杯遠征先の欧州から帰国した。
もう迷いはなかった。この日、夏見は年末にかかったインフルエンザの影響で少し鼻声だったが、気持ちはまっすぐ前を向いていた。「引退も考えていた前回(の世界選手権)とは違う思いで迎えている。前回は5位という結果だったが、そういう迷いのない今回はそれ以上、もちろん、表彰台も狙いたい」と距離では日本勢初の表彰台を照準に定めた。
確実に階段を上ってきた。夏見は集大成として臨んだ07年札幌大会スプリントで、距離史上初の5位入賞。現役続行を決めると、昨季はW杯で日本の距離史上初の表彰台となる3位(スプリント)と常に歴史を塗り替えてきた。
今季は開幕戦の24位が最高と波に乗れず、さらに今年の世界選手権スプリントは苦手のフリー走法と厳しい条件はそろうが、30歳を迎え経験と実績を積み重ね、さらなる進化を遂げている。「経験がものをいう競技だし、この年になってもまだ体力は上がっている。W杯前半戦は結果がでなかったが、焦りはないし、世界選手権のフリーで結果が出れば自信になる」。得意のクラシカル走法での10年バンクーバー五輪も見据えている。
不況にあえぐ世の中にも力を与えていくつもりだ。世間では「派遣切り」などの言葉が飛び交っているが、夏見自身も04年に2年間所属した企業の方針転換で退職せざるを得なくなり、現役続行のピンチを迎えた。当時、半年間の就職活動の末にJR北海道入りした経緯があり、人ごとではない。「今明るい話題を提供できるのはスポーツだけ。世界選手権をステップにバンクーバー五輪で結果を出して『こういう選手もいるんだ』と思ってもらえれば」と思いを込めた笑顔を見せた。【松末守司】


