<卓球:全日本選手権>◇3日目◇15日◇混合ダブルス◇東京体育館

 日本女子のエース福原愛(20=ANA)の新必殺技「エア・アイ」がさく裂した。水谷隼と組んだ混合ダブルス4回戦の川崎、岡崎戦で劣勢に立たされると、跳び上がってフォアハンドから放つ強烈なスマッシュを初公開。昨年11月、写真週刊誌に原宿デートが報じられた相手で、日本男子テニス界のエース錦織圭(18=ソニー)の「エア・ケイ」を連想させる技で勢いを取り戻し、3-2の逆転勝ちに成功した。続く準々決勝の谷口、大橋組戦も3-2で制し、4強入り。照井萌美との女子ダブルスは16強に進出した。

 「エア・アイ」が、卓球界の常識を覆した。1、2ゲーム(G)目を失い、後がない混合ダブルス4回戦の第3G。8-6と2点リードの場面で福原が宙を舞った。一方の足は50センチほどもフロアから跳び上がる、卓球の試合中としては異色の大ジャンプ。甘いボールに反応し、振りかぶった右腕から打ち下ろすスマッシュを見事に決めた。勢いに乗って第3Gを制すると、第4Gの7-5の場面でも再びエア・アイがさく裂。水谷の不調に奮起し、大技連発で逆転勝利に導いた。

 卓球界では、ジャンプにはリスクを伴うことが常識だ。スマッシュの初速は女子で130~140キロ。球が返ってくるのは、自分が打ってから1秒未満といわれる。そんな中で跳び上がって打てば、次の準備が遅れ、返された時に対処できない。威力が増して決定率は上がるが、リスクがついて回る。

 だが、父武彦氏は「数年前から取り組んでいる。パートナーと順番に打つダブルスで特に有効だがシングルスでも使える。バックハンドから打つのも練習中」と説明した。ここぞの場面で使って決めれば、「甘いボールは返せない」と、相手に重圧をかけることもできる。事実、この日の2度のエア・アイの後、相手は1点も奪えず、各Gを落とした。

 5月に世界選手権を控え、武彦氏は「特に外国人は見たことがなく驚くはず」と、外国人対策の1つでもあるとした。エア・ケイが有名になる前から習得を目指していた新技。今月10日まで約1カ月の中国合宿を行った福原は「合宿で練習した成果を出したい」。言葉にも自然と力がこもっていた。【高田文太】