<バスケットボール・Wリーグ:シャンソン化粧品57-56トヨタ自動車>◇プレーオフ準決勝(3回戦制)第1戦◇21日◇前橋・ぐんまアリーナ

 勝利への執念が、奇跡のブザービーターを呼び込んだ。レギュラーリーグ4位のシャンソン化粧品が、同1位トヨタ自動車に57-56で逆転勝ちした。55-56で迎えた第4クオーター(Q)残り16秒。相沢優子(35)が懸命につなぐと、残り1秒で放った池住美穂(23)の逆転2点シュートが決まり、接戦をモノにした。守っても粘り強くトヨタの攻撃を封じて、3季ぶりのファイナルへ王手をかけた。第2戦は22日に東京・代々木第2体育館(午後4時)で行われる。

 残り16・6秒で始まった最後のプレーに、奇跡が詰まっていた。ボールを受けた相沢がドリブルで切り込んだが、シュートが打てない。だが「キー(池住)が見えた」。倒れながら出したボールが、リングを背にした池住に渡った。残り1秒。「時間はない。ドリブルしたら終わる」。即座に反転。崩れた格好からふわりと放たれた瞬間、終了のブザー。同時に、リングの真ん中を貫いた。57-56。逆転。ブザーの音は、どよめきにかき消されていた。

 「どうやってもらったのか、覚えていないんです。まずボールを取らないと。そして、打たないで終わると後悔する、と…。最後は何が何だか分からなくて。そうしたら、みんなが喜んでいて…」。くしゃくしゃにされた池住が笑った。40分間フル出場した最後に、人生初の逆転ブザービーター。残り43秒で1点差に迫るドライブを決めていた相沢も「キーさまさまです」とヒロインをたたえた。

 耐え忍んだ。一時は11点もリードしながら逆転されて、第4Qでは最大9点差をつけられた。だが、3ブロックショットを決めた藤吉佐緒里(21)ら、粘り強い守備で勝機をつかんだ。「でも、まだ喜べない。喜んでいると、良いことがないので」と気を引き締めた池住。ファイナルが、目前に迫った。【今村健人】