<柔道:全日本選抜体重別選手権>◇初日◇4日◇福岡国際センター

 柔道日本男子代表の篠原信一監督(35)が、弱気な姿勢の男子選手に苦言を呈した。8月の世界選手権(ロッテルダム)代表の最終選考を兼ねた大会を視察。結果重視のあまり、1本を奪いに行かない柔道を目の当たりにし、「多少の冒険をして勝負に出ないと、本番でどうするんだ!」と不満をあらわにした。昨夏の北京五輪では男子は金メダル2個と過去最低のメダル数。再建を託されて同五輪後に就任した同監督は、選手にカツを入れた。

 篠原監督は失望を隠さなかった。世界選手権の代表選考を兼ねた、男子3階級の計21試合から「1本!」と威勢のいい声は、ほとんど飛ばなかった。12試合はゴールデンスコア(GS)方式の延長戦に持ち込まれ、うち7試合は旗判定までもつれ込んだ。世界と渡り合うためには、心もとない試合が多かった。

 篠原監督

 GSの試合が多く、1本が少ない。世界がかかる試合で無難になるのは分かるが、代表になるためにけいこしているのか?

 世界を目指すなら多少の冒険をして勝負に出ないと、本番でどうするんだ!

 判定、ポイント狙いでも勝ちを狙う世界の流れに対し、日本柔道界は1本勝ちの追求を指針としている。最初にポイントを奪った方が勝つGS方式の延長戦では、実力以上の要素が勝敗を左右するケースが出てくる。だからこそ口酸っぱくなるほど、攻めの姿勢を求めてきた。だが、試合で日本柔道を体現できていたのは五輪66キロ王者の内柴ぐらい。「内柴は目立っていた。女子もよかった。だが他の選手には力強さを感じない。どっちが外国人なのか?

 日本人が外国人のようですよ」と皮肉交じりの感想を口にした。

 この日は60キロ級で五輪3連覇の実績を誇り、北京五輪出場を逃してから試合から離れている野村忠宏も来場。試合を見守り、篠原監督の元には「まだ僕の戻る席はありますね」とメールが送られてきたという。同監督は「そう思われるようじゃダメ」と苦笑いし「代表選手が決まったら選手には言う」と攻めの柔道をたたき込むつもりだ。【広重竜太郎】