<陸上:静岡国際>◇3日◇静岡・エコパスタジアム

 女子200メートルで福島千里(20=北海道ハイテクAC)が、日本新を樹立した。23秒14(追い風1・5メートル)で優勝し、04年に信岡沙希重(ミズノ)がマークした記録を0秒19更新。8月の世界選手権(ベルリン)の参加標準記録B(23秒30)も突破し、100メートルとの2種目出場へ1歩前進した。女子の100メートルと200メートルのダブル日本記録保持者は史上4人目。

 壮絶なゴールシーンだった。高橋に追い上げを食らった福島は、胸を突き出すようにフィニッシュ。たまらず転倒した。事態をのみ込めない観衆は、声を失った。23秒14。左ひじと腰をすりむいたが、100分の1秒差でレースを制し、日本記録を打ち立てた。

 「もう気持ちだけ、先にゴールしてまして…。足?

 ついていかなかったです」。昨年の同大会は23秒13ながら追い風2・7メートル、4日前の織田記念での100メートルは11秒23も風が2・2メートル。どちらも日本新と思いきや風で公認されなかったが、ついに自然も味方した。

 足と地面の接地時間が短く、もものスイングが速い。単純ながら、短距離走者としての最高の武器を持つ。腰痛で体調は万全でないが「去年は五輪に出て、今年はベルリンもある。頑張りたいという気持ちで、毎日過ごしたのが大きいと思います」と勝因を話した。

 北海道に残った中村監督は、23秒51で予選を2位通過した後の電話で「けちくさい走りをするな」と、序盤の全開を指示したという。同監督は「自信があったので(静岡に)行きませんでした。これくらい出ても当たり前。まだまだ発展途上です」と、さらなる活躍を予測した。【佐々木一郎】