<陸上:国際グランプリ大阪大会>◇9日◇長居陸上競技場

 男子400メートルリレーの新日本代表が好発進した。安孫子、塚原、高平、藤光が初めてメンバーを組み、北京五輪5位に相当する38秒33で優勝。朝原宣治氏が引退し、末続慎吾が今季は休養する中、世界で通じる走りを見せた。塚原は100メートルで日本歴代5位タイの10秒13、高平は200メートルで日本歴代4位の20秒31をマークするなど自己記録を更新。個々の走力アップが、新生代表の原動力になった。

 北京五輪以来のリレーでも、日本の力は健在だった。中国、オーストラリアなどを寄せ付けずに圧勝。38秒33は、北京五輪なら5位に相当する。3走の高平は「楽しかった。あの2人が抜けたことを感じさせないように走れればと思っていた」と振り返った。

 銅メダルメンバーから、大黒柱の朝原氏とエースの末続が抜けた。平均年齢は27・75歳から22・75歳と5歳も下がった。アンカーに予定していた斎藤は右足の故障で、エントリー用紙を提出した後に、藤光と代わった。バトンパスにも改善の余地を残すが、しっかり結果を出した。

 個々の実力向上が、好タイムにつながった。1走から、エース区間の2走に配置転換された塚原は、100メートルの自己ベストを2年ぶりに0秒02短縮。9秒台の記録を持つ米国人選手にも勝って優勝した。高平は本職の200メートルで、自己記録を3年ぶりに縮めた。絶好調の安孫子は今季、走るたびに記録を伸ばした。

 「朝原さんの後を継ぐ」と公言して、知らぬ間に重荷を背負っていた塚原は前夜、ホテルの自室で朝原氏と約1時間話し込み、気持ちを楽にしたという。「メダリストの塚原は、去年で終わり。足かせにしない。(リレーは)今季初戦にしては、上出来だと思う」と話した。

 日本陸連の苅部短距離部長は「できすぎかもしれない。下手したら、メダルを狙える。朝原のチームは基礎をつくるのに時間がかかった。今は、その土台を彼ら4人が継承してくれている」と説明した。メンバーはまだ固定されていないが、チームとしての下地はある。顔ぶれは代わっても、世界と戦える可能性が見えてきた。【佐々木一郎】