<テニス:ウィンブルドン選手権>◇2日目◇23日◇ロンドン郊外・オールイングランド・クラブ

 【ウィンブルドン=吉松忠弘】日本史上最年長の38歳で出場した世界142位のクルム伊達公子(エステティックTBC)が、4大大会で13年ぶりの勝利を逃した。20歳も若い同9位キャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)に7-5で第1セットを奪う大健闘のスタートだったが、その後は両足のけいれんに襲われ失速。第2、3セットを3-6、1-6で落とし、逆転負けした。初日の22日には世界38位の杉山愛(33)がシードを破り4年連続で初戦を突破した。

 クルム伊達は笑顔だった。最後は、両足にけいれんが襲いながらも、必死でボールを追った。20歳も年下の相手に、38歳が全身全霊を傾け戦った。「久しぶりに自分のテニスに手応えを感じた。次につながるプレーができた」。逆転で敗れたが、13年ぶりのウィンブルドンの舞台に、最後まで誇らしげだった。

 第1セットは38歳の円熟味あふれるプレーと、積極的な攻撃で、若い力をほんろうした。弾まない芝を味方に付けて、低い弾道と、速いリズムで、ウォズニアッキのパワーを封じた。「リスクを冒して攻める」の言葉通り、低いスライスでしつこく攻めた。第2セットの3-1までは「完ぺきだった。相手のテニスをやらせなかった」。

 第2セットの途中から「少し疲れてきた」。開始から全力の38歳の肉体は限界だった。足が動かなくなった。このセットを3-6で逆転された。「私の崩れるのを相手は耐えながら待っていた。その精神力だからこそ、世界9位にいると思う」。最終セットでは両足にけいれんが襲い、第3ゲーム終了時に太ももの治療も行った。それでも最後までコートに立ち続けた。

 かつてコーチと2人きりだった転戦は、5人のスタッフを抱える「チーム伊達」になった。岩本功コーチを軸に、トレーナーらに加え、今大会から「プロファイラー」と呼ばれる情報分析や心理分析する専門家もついた。21日からは夫でカーレーサーのミヒャエル・クルムも合流。夫から毎日、「おれと(亡くなった)お父さんのためにがんばれ」と励まされた。敗れたが、チームの成果も出せた。

 「昔はプレッシャーや勝ちにこだわってテニスがおもしろくなかった。今は本当に楽しんでいる」。英語で、外国記者の質問に答えた。「チャレンジは続けたい。今回は充実感があるが、まだ何か足りない」。その貪欲(どんよく)さは、13年たっても変わっていない。